省エネ運転と消費電力の簡易計算

3200系に搭載した積算電力の簡易計算機能は、公開から2週間たった現在まで多くの方にお楽しみ頂いているところです。

エコドライブチャレンジ

何度か試された方がお気づきの通り、多少の遅れを承知のうえでダラダラ走れば消費電力は抑制できますが、それには理由があります。図1は奈良→難波間のBve上での走行をグラフ化したものです。消費電力の増加は次の4種類にまとめられます。

積算電力

図1 積算電力

  1. 発車、停車を繰り返す区間(奈良→新大宮、布施→難波)
    今回のシミュレーション方法では回生失効や軽負荷回生が起きないため回生率は実車よりやや高く35~50%程度となり、消費電力は緩やかに増えていきます。
  2. 登坂区間(西大寺→生駒)
    標高約70mの奈良盆地から150m弱の生駒まで(途中富雄川と竜田川の谷があるものの)長時間力行が必要な区間です。電力はどんどん伸びていきます。
  3. 降坂区間(生駒→瓢箪山)
    生駒トンネルの中央部が峠となり瓢箪山まで一気に標高140m分を下ります。位置エネルギーからの回生電力が勝る区間です。
  4. 通過運転区間(瓢箪山→布施)
    途中に工事に伴う速度制限があるものの高速をキープするのに力行電力が大半を占めます。

では、どうすれば消費電力は抑えられるでしょうか。これを検討するために今回の電力量簡易計算のロジックを説明します。

電力=電圧×電流

電車線電圧は1500Vなので、パンタグラフを流れている直流電流(以下、パンタ電流)がいくらか分かれば電力が計算できます。しかし、Bve5ではシミュレーションにそのような値は使われていないため、性能曲線から無理矢理算出します。図2はVVVFインバーター制御電車の力行特性図です。

図2 力行特性

図2 VVVFインバーター制御電車の力行特性

  1. V/F一定領域では誘導電動機のすべり率を一定に保って三相交流電圧を速度に比例させる制御を行うので主電動機(MM)電流は一定ながらパンタ電流は速度に比例して上昇します。従って、この終端速度を第1パラメーターにします。
  2. 次に、それ以上の速度ではパンタ電流とMM電流とを一定の比を掛けて求めることとし、この比を第2パラメーターにします。なお実際は回路損失など様々な要因が考えられますが複雑になるので考慮しません。
  3. 図は力行の場合であり、誘導電動機は電動機特性と発電機特性が非対称なので回生用に1と2のパラメーターはもう1組用意します。

図3は走行シミュレーション(図1)の結果を図2のように横軸=速度-縦軸=電流で整理したものです。

速度-電流(MM電流、パンタ電流)

図3 速度-電流(MM電流、パンタ電流)

図3より、定出力領域(40~65km/h)で力行電力はピークになります。またそれ以上の速度は特性領域で、速度が上がるほど電流も減りますが加速度も落ちるため、長時間力行して結果的に力行電力は多くなります。40km/h以下は発車に最低限必要な範囲であるため、それを除いた中高速域の加速を節制することが消費電力抑制に有効です。

回生の有効範囲

回生失効や軽負荷回生を考慮しないとしても、回生の有効範囲については注目すべき点があります。

VVVFインバーター制御電車がそれ以前の回生車(界磁チョッパ、電機子チョッパ、界磁添加励磁または界磁位相制御)よりも飛躍的に回生効率がよくなった理由は、T車のブレーキ力をM車の回生ブレーキでまかなう遅れ込め制御を併用したことですが、1M1T編成では常用最大減速度までのブレーキ力をM車の回生で負担できません。具体的には2つの理由があり、

(1) 制御器の素子容量……高速域は素子容量が不足するため回生を絞る必要がある。ただしこれは最近SiC素子の採用で解決するようです

(2) 滑走限界 …… 鉄車輪の構造上、当面解決の見込みはないらしく回生負担減速度は1M1T編成で2.85km/h/s程度が上限になっているようです

3200系は減速度3.5km/h/sのところ70%程度まで回生が負担できます。そのため、ブレーキ6~7ステップを使うと空気制動が補足されます。したがって、運転中は前をよく見てB6・B7を避けることで回生率の改善が期待できます。

考察

これまでの検討を踏まえ、図1とともに分類した区間別にエコドライブの可能性を検討します。

  1. 発車、停車を繰り返す区間では、適切な速度でノッチオフし中高速域の力行時間を減らすとともに、ブレーキはB5以下を使用することが有効となります。
  2. 登坂区間では、高い速度で力行時間を短縮することが有効となります。
  3. 降坂区間では、信号変化や駅停止位置までの距離に対し、平坦線よりも減速度が低下していることを考慮してB5以下に収めることが有効となります。
  4. 通過運転区間では、信号変化に注意して不必要な加・減速を避けることが有効となります。

結論

あまりダラダラ流すと遅れてしまうので、運転曲線がもっと立っている路線や、消費電力がより多くなる高加速車では運転方法の差が顕著に表れます。

簡易かつ雑なシミュレーションですがひきつづき楽しんで頂けると幸いです。

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Google photo

You are commenting using your Google account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s